投資の収益性を評価する際に使われる指標として、IRR(内部収益率)MIRR(修正内部収益率)があります。また、これらの関数と並んで重要な役割を果たすのがPOWER関数です。それぞれの違いや使い方を分かりやすく解説します。

IRR(内部収益率)とは

IRR(内部収益率)は、投資によってどれくらいの利益が得られるかを示す指標です。たとえば、IRRが8%の投資は、毎年8%ずつお金が増えることを意味します。これは、8%の利息がつく定期預金と同じようにお金が増えていくイメージです。エクセルでは=IRR()関数を使って計算します。

【特徴】

  • IRRは、将来のキャッシュフローがすべて同じ利回りで再投資されると仮定します。
  • プロジェクトがどれだけの利回りを生むかを簡単に計算できます。
  • 不規則なキャッシュフローにも対応可能です。

【例】

=IRR(A1:A6)

セルA1~A6にキャッシュフローを入力し、IRRを計算します。ただし、キャッシュフローの途中にマイナスがある場合や、複数のIRRが存在するケースもあり、結果の解釈が難しい場合があります。

MIRR(修正内部収益率)とは

MIRRは、IRRの欠点を補う指標で、投資時の資金調達コストと利益の再投資利率を分けて計算します。エクセルでは =MIRR() 関数を使用します。

IRRでは、途中で得られるキャッシュフロー(CF)も同じ利回りで再投資されると仮定されます。一方で、MIRRでは途中のキャッシュフローが再投資されず、資金調達コストと再投資利率を分けて計算します。このため、MIRRのほうが現実的な収益率を反映することができます。

【特徴】

  • MIRRは投資コストと再投資利率が異なる場合に使います。
  • 複数の解が存在せず、単一の解が得られます。

【例】

=MIRR(A1:A6, 5%, 8%)

資金調達コスト5%、再投資利率8%で計算され、より現実的な利回りが求められます。

POWER関数を使った計算

MIRRは便利ですが、期中にマイナスのキャッシュフローが存在する場合、正しく計算されないことがあります。こうした場合に役立つのがPOWER関数です。

POWER関数を使うことで、年平均成長率(CAGR)を求めることができます。これは、初期投資額と最終売却額のみを使い、複利でどれくらい成長したかを計算する方法です。

【例】

=POWER(売却時現金残高 / 初期投資, 1 / 投資年数) - 1

この計算により、途中のキャッシュフローを気にせず、投資の全体的な成長率を把握できます。

【例】

=POWER(1500000 / 1000000, 1 / 5) - 1

初期投資100万円が5年後に150万円になった場合、年平均成長率は約8.45%になります。

IRR、MIRR、POWERの違いまとめ

関数 特徴 メリット デメリット
IRR 将来のキャッシュフローが同じ利回りで再投資されると仮定 簡単に利回りが計算できる 複数の解が存在する可能性がある
MIRR 資金調達コストと再投資利率を分けて計算 単一の解が得られる 期中のマイナスキャッシュフローには弱い
POWER CAGRを計算し、正確な成長率を求める マイナスキャッシュフローがあっても計算可能 再投資利率は考慮されない

まとめ

投資評価において、IRRやMIRRは非常に有用ですが、それぞれに限界があります。期中のマイナスキャッシュフローが問題となる場合は、POWER関数を活用してCAGRを求めるのがおすすめです。状況に応じて使い分けることで、より正確な投資評価が可能になります。