不動産投資は「投資」という言葉が使われますが、実際には「事業」として行うものであり、事業によって得られた利益に対して税金が課されます。

この税金を計算するために用いられるのが「損益計算(売上 − 費用 = 利益)」です。ここで重要なのが建物の価格です。なぜなら、建物は保有・賃貸中に減価償却費として費用計上できますが、土地は減価償却の対象外だからです。

そのため、物件を土地と建物をまとめて一括で購入した場合でも、その価格を土地と建物に按分(分ける)して記録する必要があります

土地と建物の按分方法

① 売買契約書に消費税額の記載がある場合

  • 契約書に建物にかかる消費税額が明記されている場合、それが建物価格の明確な証拠になります。
  • その金額をもとに建物価格を算出し、残りを土地価格とします。
  • 建物価格が高くなるほど減価償却費が増えるため、売主との交渉で建物価格を高めに設定してもらうのが節税の観点から有利です。

② 消費税の記載がない場合

  • この場合は、固定資産税評価額を用いて土地と建物の価格を按分します。
  • 計算式は以下の通りです:
建物価格 = 物件価格 × 建物評価額 ÷(土地評価額+建物評価額)
土地価格 = 物件価格 − 建物価格

③ 仲介手数料などの取得費用も按分対象

  • 仲介手数料などの諸費用も土地と建物に分けて資産計上します。
  • これも物件価格の割合に応じて按分されます:
仲介手数料(建物分)= 仲介手数料 × 建物価格 ÷ 総価格
仲介手数料(土地分)= 仲介手数料 − 仲介手数料(建物分)

まとめ:按分は税務上も実務上も非常に重要

土地と建物を正しく按分することは、減価償却費や課税額、キャッシュフローに直結します。

  • 消費税の記載がある場合は、その記載を根拠に按分。
  • 記載がない場合は固定資産税評価額をもとに合理的に按分
  • 仲介手数料などの費用も同様に按分して資産に含めることが必要。

不動産購入の初期段階で、正確な按分を行うことが税務上のリスク回避と資金効率化のカギとなります。