目次
1. 歪みと取引数
不動産投資において融資を活用しないのはもったいない。投資というより、事業のような側面が強い。金融資産を持っている人は融資を受けやすい傾向がある。物件の「歪み」(妙味)、つまりその物件でどれだけ利益が得られるかを理解し、繰り返すことが成功の鍵となる。取引頻度の向上も重要である。
2. 収益の要因
- 即売却と30年後の売却では利益の出方が異なるため、それぞれのリスクを分析する必要がある。
- 不動産は株と違い、2割から3割引きで購入できることが多い。
- 市場価格が変動しても、割安で購入する人と割高で購入する人がいる。
- この「歪み」を利用するには資金調達が不可欠であるが、融資が出るから購入するのではなく、融資が続く方法で購入することが重要。
3. 取引頻度
- 安定した物件ばかり探していると、取引頻度が低下する。
- 取引頻度を上げるためには、多少リスクを取ることも必要。
4. 融資戦略
プロパー融資(事業者向け融資)を継続して受けることが重要である。良い融資を受け、良い物件を購入し、良い決算を出し、銀行から高評価を得る。このサイクルを繰り返すことが不動産事業の成功に直結する。
- 銀行は新規顧客に対して慎重である。
- 最初は同じ銀行で実績を積むのも一つの戦略。
- 住宅ローンは計算が容易だが、プロパーローンは評価が複雑。しかし、後々の融資ではプロパーローンが有利である。
5. プロパーローン突破のポイント
- 理論と熱量が必要。
- 理論は書籍やセミナーで学び、熱量は銀行への情報収集や交渉で培う。
- 否決されても諦めないことが大切である。
- 最初の融資が最も大変だが、実績を積めば良い案件が舞い込むようになる。
6. 銀行組織の理解
プロパー融資を受けるには、信用金庫など地域密着型の金融機関が取りやすい。
- 銀行の目標や役員の特徴を理解することが重要。
- 銀行は預金、融資、為替の3大業務を行うが、メインは融資である。
- メガバンクは利益重視、信用金庫は社会貢献、信用組合は相互扶助、公庫は国策と、それぞれ特徴がある。
- 銀行は縦割りの組織であり、上司を味方につけることが融資を受ける上で有利に働く。
7. 銀行の審査基準
審査の際は次の5つの原則が考慮される。
- 安全性
- 収益性
- 公共性
- 成長性
- 流動性
エリアを外れた信用金庫や信用組合では融資が厳しく、地方銀行は収益性があればエリア外でも融資することがある。初期のうちはエリアの狭い銀行を利用するのが良い。
8. 審査部の3原則
審査は「使途」「財源」「保全」の3つで決まる。
- 使途:融資の目的や理由。何を購入するか、どこの人間がなぜ購入するかが評価される。自分の背景や購入理由を明確に説明できることが重要。
- 財源:返済原資。返済比率や担保評価など、定量的に判断される。実際の返済能力を示す指標であり、数字として明確に示される。
- 保全:債務者が破綻した際に銀行がどれだけ回収できるか。担保物件の価値や債務償還年数などが見られる。
9. 資料提出のポイント
- 自己紹介、事業展望、家系図、親族の資産などを提出。
- 銀行からの資料依頼には迅速に対応し、熱意をアピール。
- 非営利銀行では定量評価が基準を満たさなくても、定性評価が高ければ融資が下りることもある。ストーリー性を持たせることが重要。
- 「なぜその銀行に来たのか」「何のために物件を購入するのか」といった質問にも具体的に回答する必要がある。
10. 決算書の整え方
- 決算書の見栄えを良くするため、自己資本比率を高める。
- 役員借入を純資産に振り替えるなどの工夫が必要。
- 黒字を積むことがプラス要因になるが、節税とのバランスも考慮する。
11. 債務償還年数
- 実質有利子負債をキャッシュフローで割る指標。
- 短い方が優良とされるが、銀行によって判断は異なる。
- 減価償却や修繕費を資産計上することで、債務償還年数を調整することが可能。
12. 融資戦略のまとめ
- 銀行との信頼関係を築くことが重要。
- 新設支店や転勤直前の支店長を狙うなど、融資を受けやすいタイミングを見極める。
- 金利交渉は慎重に行う。銀行員は他行からの肩代わりを嫌うため、言い回しに注意する。