【簿記3級】仕入・繰越/繰越・仕入の意味(小学生レベルで解説)

決算整理仕訳で商品売上原価を計算するとき、テクニックとして「しーくり・くりしー」という暗記法があります。しかし勘定科目は分かるのに、金額が分からず、間違ってしまう人は多いです。

こうしたミスは本質的な意味が理解できていないときに起こります。そこで意味を理解すれば絶対に間違わないようになります。ここでは「しーくり・くりしー」を金額まで完璧にするための方法をわかりやすく説明していきます。

なぜ仕入・繰越商品が難しく感じるか

決算整理仕訳で商品売上原価を計算するとき「売上原価」「期首商品棚卸高」「期末商品棚卸高」といった難解な用語が登場します。また複式簿記かつ三分法を使うため「仕入」「繰越商品」といった2種類の勘定科目を使用します。

そうした状況で計算問題を解くため、簿記初心者は混乱してしまいます。しかし、要素に分けて考えることで誰でも理解できるようになります。

まずは本質的な計算問題を小学生でもわかるレベルまで単純化させて説明していきます。以下の計算問題を考えてみてください。

答えは1,000+500-100=1,400です。決算整理仕訳で商品売上原価を計算する本質は上記と全く同じです。この計算が理解できれば間違うことはありません。それでは単語レベルを少し難しくして、もう一度考えてみましょう。

答えは50万+300万-40万=310万です。なお用語の注意点として「売上原価」は仕入値と考えれば問題ありません。100円で仕入れて200円で販売したとき、売上原価は100円、売上高は200円です。これらの違いを覚えておきましょう。

また前期末から残っている在庫の仕入値を「期首商品棚卸高」と言い、期末に残っている在庫の仕入値を「期末商品棚卸高」と言います。単語の意味が分かれば計算式に当てはめるだけなので簡単です。

複式簿記(三分法)で考えると複雑になる

ここまでの解説が簡単だったのは単式簿記で考えていたためです。単式簿記は金額の増減だけを考えれば済む話でした。

一方、複式簿記では「相手勘定」を記載する必要があります。相手勘定の存在により複雑に見えてしまうのです。さらに分記法を採用していることも難しいポイントです。ただし、これから説明する流れで考えれば理解できるので安心してください。

決算で作成する損益計算書(P/L)には売上原価として「?」に当てはまる数値を反映させる必要があります。しかし期中仕訳で集計が終わっているのは「300万円」です。具体的には前T/B(決算整理前試算表)に記載された数値になります。

この300万円に微調整を加えて「?」の数値を計算するのが決算整理仕訳の本質になります。具体的には300万に対して「+50万-40万」という処理を行います。

これを複式簿記で考えると「費用が増えたら借方、減ったら貸方」「仕入は費用」というルールに従い、以下のようになります。

借方 貸方
仕入 50万円
仕入 40万円

なお三分法という記載ルールを採用すると相手勘定は「繰越商品」になります。簿記3級では三分法が採用されているため三分法での記載方法を覚えることになります。上記の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
仕入 50万円 繰越商品 50万円
繰越商品 40万円 仕入 40万円

仕入の相手勘定が「現金」「買掛金」でないことに違和感を覚えるかもしれません。しかし上記は決算整理仕訳であり現金や買掛金の移動は発生していません。そのため繰越商品を記入すると覚えるとよいです。

上記の仕訳での本質は「仕入」です。仕入のプラス・マイナスを最初に考え、相手勘定に「繰越商品」を記入するという順番で考えるのがおすすめです。