T字勘定(総勘定元帳)で混乱、左右逆になる人という方へ

総勘定元帳に苦手意識を持つ簿記学習者は多いです。仕訳ルールに加えて総勘定元帳についても丸暗記で乗り切ろうとしても、暗記量が多くなりキャパオーバーになってしまいます。

そのため、簿記で暗記が難しくなったら、本質的な意味を理解するよう努めましょう。ここでは総勘定元帳とは何者なのかを小学生でも分かるように説明していきます。

仕訳帳

仕訳は時系列に記載されるため、様々な勘定科目の羅列となります。実際のイメージとしては以下のようになります。

借方 貸方
4/5仕入 300 買掛金 300
4/8現金 200 売上 600
4/8売掛金 400
4/15買掛金 150 現金 150
4/20現金 450 売掛金 450

ただ仕訳帳では情報がゴチャゴチャしていて、わかりにくいです。例えば、現金の出入りを調べるとき、現金に関与する仕訳だけソートしたくなるはずです。こうした目的で総勘定元帳が作られていることを理解しましょう。

総勘定元帳

仕訳帳の情報から、現金に関する情報を抽出すると以下のようになります。こうすることで、現金の出入りだけに注目することができます。

総勘定元帳に記載された「借方・貸方」はソートされた勘定科目に対しての仕訳であることに注意しましょう。つまり、上記の「借方・貸方」は現金の出入りが記載されています。

借方 貸方
4/5仕入 500 現金 500

総勘定元帳では特定の勘定科目に着目していることを理解しておけば、上記の総勘定元帳は現金の流れを表していることに気づきます。以下のようなイメージを持っておくと良いです。

なお帳尻を合わせるため、余った現金は「次期繰越」として処理します。総勘定元帳は現金以外にも、売掛金や買掛金など、勘定科目ごとに作成されます。なお、総勘定元帳をさらにシンプルに記載する方法としてT字勘定が用いられることもあります。

T字勘定(Tフォーム)

総勘定元帳の「現金」を確認すれば、現金の出入りが分かります。この部分のみに着目することで、よりシンプルな方法で記載することが可能です。以下はT字勘定という形式での記載になります。

T字勘定を使うとき、「左右どちらに記入するか」「仕訳ではどのように記載されていたか」を迷うことは多いです。しかし、本質的な意味を思い出せば大丈夫です。

例えば、4/3に着目すると「売上2,000によって現金が2,000増えた」と読むことができます。また4/22に着目すると「備品1,000購入のため現金が1,000減った」となります。

このように、意味を理解しておけばT字勘定を間違うことはありません。現金だけでなく、売掛金(資産)、仕入(費用)などの勘定科目も同じルールになります。ただし、負債・純資産・収益のT字勘定は注意が必要になるため、以下で説明していきます。

負債・純資産・収益のT字勘定

仕訳の基本ルールとして、「資産・費用」「負債・純資産・収益」を思い出しましょう。以下のように、増加したときに記載する場所が異なります。

このルールは総勘定元帳(T字勘定)でも適用されます。例えば以下は買掛金のT字勘定になります。

買掛金は負債であるため、買掛金が増加した場合は貸方(右側)に記載することになります。例えば10/8に着目すると、「仕入418,000により、買掛金が増えた」という意味になります。

このように、「資産・費用」「負債・純資産・収益」ではT字勘定のパターンが逆になります。例えば、前期繰越によって増える場合、「資産・費用」であれば左側、「負債・純資産・収益」であれば右側になります。