用途地域は①住居系②商業系③工業系の3つに分類されます。それぞれさらに詳細に分類されます。

用途地域を定める区域

区域 用途地域
市街化区域 少なくとも定めなければならない
市街化調整区域 原則として定めない
非線引区域 必要に応じて定めることができる
準都市計画区域 必要に応じて定めることができる

「少なくとも用途地域を定める」という表現は少し分かりづらいですが、ここでの「少なくとも」とは、「最低限、必ず用途地域を定めなければならない」という意味です。つまり、「市街化区域には用途地域を定めることが法律上の義務です」ということを言っています。

 

用途地域表

施設 第1低 第2低 田園住 1種中高 2種中高 1種住居 2種住居 準住居 近隣商業 商業 準工業 工業 工業専用
図書館 ×
幼稚園・小・中・高校 × ×
大学・高専・専修学校 × × × × ×
病院 × × × × ×
自動車教習所 × × × ×
ボーリング場・スケート場・水泳場 × × × × ×
ホテル・旅館 × × × × × ×
カラオケボックス × × × × × ×
麻雀・パチンコ × × × × × × ×
劇場・映画館 × × × × × × × ×
キャバレー・料理店 × × × × × × × × × ×

住居系用途地域

  1. 第一種低層住居専用地域
  2. 第二種低層住居専用地域
  3. 第一種中高層住居専用地域
  4. 第二種中高層住居専用地域
  5. 第一種住居地域
  6. 第二種住居地域
  7. 準住居地域
  8. 田園住居地域
試験対策

住居系では次のキーワードにより用途地域を見分けることができる。「主として」→「第二種」、「道路の沿道」→「準住居」、「農業の利便」→「田園」

第一種低層住居専用地域

一戸建てなどの低層住宅の良好な住環境を守ることを目的としています。静かで落ち着いた住宅街を形成するための地域であり、建物の高さや用途に厳しい制限が設けられています。

この地域では、住宅のほか、小中学校や保育所、診療所など、住民の生活に必要な公共施設は建築可能ですが、店舗や事務所、娯楽施設などは原則として認められていません。

住居兼店舗であれば条件によっては建築可能です。住宅に付属する非住宅部分(店舗や事務所など)については、床面積が50平方メートル以下で、かつ建物の延べ面積の2分の1以下であることが求められます。

住居を含め建物の高さは10メートルまたは12メートル以下に制限されており、日照や通風、景観に配慮したまちづくりが行われています。

第二種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域では原則として店舗の建築は認められていませんが、第二種低層住居専用地域では、床面積150㎡以下の一定の店舗(コンビニエンスストアや日用品の販売店舗、喫茶店、理髪店など)を建てることができます 。

これは、第二種低層住居専用地域が「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされているのに対し、第一種低層住居専用地域は「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」とされており、「主として」という文言があるかないかが、この違いを生んでいます。

第一種中高層住居専用地域

第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域では建築できないものの、第一種中高層住居専用地域で建てられる建物としては、主に以下のものがあります。

  •  病院
  •  大学、高等専門学校
  •  床面積が150㎡を超える500㎡以下の店舗

第二種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域では建てられないものの、第二種中高層住居専用地域で建てられる建物としては、主に以下のものがあります。

* より広い店舗・飲食店: 第二種中高層住居専用地域では、2階以下で床面積の合計が1500㎡以下の店舗や飲食店が建築可能です 。一方、第一種中高層住居専用地域では、2階以下で床面積の合計が500㎡以下に制限されています 。

* 事務所: 第二種中高層住居専用地域では、2階以下で床面積の合計が1500㎡以下の事務所を建てることができます 。第一種中高層住居専用地域では、事務所は原則として建てられません .

* ガソリンスタンドなど: 第二種中高層住居専用地域では、床面積の合計が3000㎡以内のガソリンスタンドなども建築可能です 。

* 自動車駐車場: 第二種中高層住居専用地域では、2階以下で床面積の合計が300㎡以下の自動車車庫(駐車場)を建てることができます 。

このように、第二種中高層住居専用地域は、第一種中高層住居専用地域に比べて、より多様な利便施設を建てることが認められています 。

第一種住居地域

第二種中高層住居専用地域では建てられないものの、第一種住居地域で建てられる建物としては、主に以下のものがあります。

* ホテル、旅館

* 作業場の床面積が50㎡以下の工場 で、危険性が少なく、環境を悪化させるおそれの少ないもの

* 3000㎡以下の店舗、事務所、運動施設、展示場 (第二種中高層住居専用地域では1500㎡以下に制限されています )

第一種住居地域は、住居の環境を保護することを目的としていますが、第二種中高層住居専用地域よりも規制が緩和されており、より多様な用途の建物を建てることが可能です 。特に、ホテルや小規模な工場が認められている点が、第二種中高層住居専用地域との大きな違いです 。

準住居地域

準住居地域は、住居の環境を保ちながら、自動車関連施設などの利便施設も建てられる用途地域です。一戸建てや共同住宅に加え、飲食店や店舗、事務所、ホテル(ラブホテルを除く)なども建築可能です。

また、自動車教習所やガソリンスタンド、修理工場などの自動車関連施設、映画館も認められており、これは他の住居系地域との違いです。

この地域は主に幹線道路沿いに指定されます。交通量が多く、沿道サービスの需要が高いため、住宅地と商業地の中間的な性格を持っています。そのため、住まいと利便施設が共存できるように計画されています。

田園住居地域

この地域では、一般的な住宅に加えて農業用施設や直売所なども建築可能ですが、その規模や構造には制限があります。特に農産物の直売所や飲食店については、原則として2階建て以下で床面積150平方メートル以内とされています。

ただし、田園住居地域またはその周辺で生産された農産物の販売や、それらを材料とした料理の提供を主な目的とする場合には、床面積の上限は500平方メートルまで緩和されます。

また、建物の高さについても、良好な住環境を維持するために10メートルまたは12メートル以下という制限が設けられています。

一方で、大規模な商業施設や騒音を伴う施設など、居住環境に影響を与える用途の建築は制限されており、落ち着いた暮らしやすい環境が保たれています。田園住居地域は、農と住が共存できる地域として、持続可能なまちづくりに貢献しています。

商業系用途地域

  1. 近隣商業地域
  2. 商業地域
試験対策

「日用品の供給」→「近隣商業」、「主として商業」→「商業」

工業系用途地域

  1. 準工業地域
  2. 工業地域
  3. 工業専用地域
試験対策

「環境の悪化」→「準工」、「主として工業」→「工業」、「工業の利便の増進」→「工専」