不動産を購入したり保有したりすると、さまざまな税金がかかります。その中でも宅建試験で頻出なのが「不動産取得税」と「固定資産税」です。ここでは、それぞれの税金のしくみと、試験対策として押さえておきたい特例措置について、丁寧に解説します。
税の基本用語と考え方
まず知っておきたいのは、「税額=課税標準×税率」で決まるというシンプルなルールです。
「課税標準」とは、税金を計算するための元となる金額のこと。たとえば不動産取得税なら、市町村が定めた「固定資産課税台帳」に記載された価格が基準になります。これは売買価格(時価)とは異なり、通常やや低めに設定されています。
また、「課税主体」はその税を課す機関、「課税客体」は税を課すもととなる行為や物、「納税義務者」は税を納める人を指します。
不動産取得税とは?
不動産取得税は、土地や建物を「取得」したときに一度だけ納める地方税です。課税主体は「都道府県」で、納税通知書により普通徴収されます。取得には売買だけでなく、贈与や新築、増改築も含まれます。相続や法人の合併などは課税対象外です。
税率と免税点
原則の税率は4%ですが、住宅や土地には特例として3%が適用されます。さらに、課税標準が一定額に満たない場合は免税となり、具体的には以下のように定められています。
- 土地:10万円未満
- 新築・増改築による家屋:23万円未満
- その他の家屋:12万円未満
これらの金額は宅建試験でもよく問われるため、そのまま覚えておくとよいでしょう。
特例控除
新築住宅には課税標準から1200万円(長期優良住宅は1300万円)を控除する特例があります。これにより、課税額がゼロになることもあります。床面積が50㎡以上240㎡以下であることが条件ですが、貸家や親族が住む場合も含まれます。法人が所有していても対象です。
中古住宅にも特例があり、築年数や耐震基準を満たしていれば、最高1200万円まで控除されます。ただし、こちらは自ら居住する場合に限られ、法人所有の場合は対象外です。
宅地については、課税標準が1/2に軽減される特例があります。住宅の有無にかかわらず適用されるのが特徴です。
固定資産税とは?
固定資産税は、土地や家屋を「保有」していることに対して毎年かかる税金で、課税主体は「市町村」です。課税の基準日は1月1日で、その日に所有者として登録されている人が納税義務者となります。
ただし、以下の3つの例外があります。
- 質権または100年以上の地上権が設定されている場合は、その権利者が納税義務者
- 所有者が行方不明などの場合は、使用者が納税義務者
- 所有者が死亡している場合は、実質的な相続人が納税義務者
免税点と税率
固定資産税にも免税点があり、以下を下回る場合は課税されません。
- 土地:30万円
- 家屋:20万円
- 償却資産:150万円
税率は原則1.4%ですが、市町村の判断で変更される場合もあります。
特例措置
住宅用地については、課税標準が大きく軽減されます。
- 小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準が1/6に
- その他の住宅用地(200㎡超):課税標準が1/3に
また、新築住宅については、床面積が120㎡以下の部分について、固定資産税が3年度分(一定条件で5~7年度分)2分の1に軽減されます。
まとめと試験対策のポイント
不動産取得税と固定資産税は、税率や免税点、特例措置が非常に多く、数字を中心に出題されやすい分野です。中でも「免税点の金額」「税率の区別」「控除額や床面積の条件」などは暗記しておく必要があります。
覚えるだけでなく、実際にどういうときに課税されるかをイメージできると、記憶にも残りやすくなります。たとえば、「親から無償で土地をもらったら不動産取得税がかかるのか」「自宅を新築したら何の税金がかかるのか」など、身近な事例に置き換えて考えてみるのも有効です。